はじめての翻訳・通訳学習ガイド

翻訳・通訳の学習 語学力以外の必須スキル

Tags: 学習法, スキル, 翻訳, 通訳, 未経験者

はじめに

翻訳や通訳の仕事に興味をお持ちの方の中には、「何よりも語学力が大切だろう」とお考えの方が多いかもしれません。確かに高い語学力は不可欠ですが、プロとして活躍するためには、それ以外の様々なスキルも同様に重要となります。特に未経験から学習を始める際には、語学力と並行して、またはそれ以上に意識して磨くべき周辺スキルが存在します。

この記事では、翻訳・通訳に求められる語学力以外の必須スキルについて具体的に解説し、それらのスキルをどのように学習・習得していけば良いのか、未経験者でも実践できるヒントをご紹介します。これから学習計画を立てる上で、ぜひ参考にしてください。

翻訳・通訳になぜ語学力以外のスキルが必要なのか

翻訳は「ある言語の文章を別の言語の文章に」、通訳は「ある言語の話された内容を別の言語で」それぞれ置き換えることですが、単純な単語やフレーズの置き換えではありません。元の内容の意図、ニュアンス、背景にある文化、文脈などを正確に理解し、ターゲット言語の自然な表現で伝える必要があります。

そのためには、単に二つの言語を知っているだけでは不十分です。原文(または話し手の言葉)を深く理解するための読解力・リスニング力、そしてそれを効果的に表現するためのライティング力・スピーキング力が求められます。加えて、扱うテーマに関する専門知識、情報源の信頼性を判断するリサーチ力、異なる文化を理解する異文化理解力なども必要不可欠です。

さらに、限られた時間の中で正確な成果物を納期通りに仕上げるタイムマネジメント能力や、効率的に作業を進めるためのITスキルなども、プロとして活動する上で欠かせない要素となります。これらの周辺スキルは、語学力と組み合わさることで、初めて高品質な翻訳・通訳が可能となるのです。

翻訳・通訳に求められる語学力以外の主なスキル

具体的にどのようなスキルが必要とされるかを見ていきましょう。

1. リサーチ力

原文や元の発話内容に不明な点がある場合、あるいは専門的な内容を扱う場合、正確な情報を得るためのリサーチは必須です。

2. 専門知識・分野知識

特定の分野(医療、法律、金融、技術、文学など)を扱う翻訳・通訳の場合、その分野に関する基本的な知識や専門用語の理解が必要です。

3. ライティング・編集力(主に翻訳)

翻訳された文章が、ターゲット言語において自然で分かりやすいものである必要があります。

4. リスニング・ノートテーキング力(主に通訳)

通訳は、話者の言葉を正確に聞き取り、それを瞬時に処理する能力が求められます。逐次通訳では、話の内容をメモに取るノートテーキングも重要です。

5. 異文化理解力

言語の背後には文化があります。文化的な背景を理解していないと、言葉の表面的な意味しか捉えられず、誤解を生む可能性があります。

6. ITスキル

現代の翻訳・通訳業務において、ITスキルは不可欠です。

7. タイムマネジメント・自己管理能力

特にフリーランスで活動する場合や、他の活動(学業など)と両立しながら学習を進める場合、自己管理能力が重要になります。

語学力以外のスキル学習のヒント

これらのスキルは、語学学習と並行して、または意識的に時間を設けて習得していくことが可能です。具体的な学習方法のヒントをいくつかご紹介します。

まとめ

翻訳・通訳の学習は、単に外国語の単語や文法を覚えることだけではありません。語学力という土台の上に、リサーチ力、専門知識、ライティング・リスニング・編集・ノートテーキング力、異文化理解力、ITスキル、タイムマネジメント・自己管理能力といった様々な周辺スキルを積み上げていくプロセスです。

これらのスキルは一朝一夕に身につくものではなく、日々の意識的な学習と実践によって磨かれていきます。特に未経験からスタートする場合、何から手をつけて良いか迷うこともあるかもしれませんが、今回ご紹介したスキルとその学習法を参考に、少しずつでも良いので取り組みを始めてみてください。語学学習と並行してこれらのスキルを意識することで、より効率的で実践的な学習が可能となり、将来のキャリアに繋がる確かな力が養われるはずです。